「日本の反知性主義」内田樹編
安倍政権は大きな顔をしてやりたい放題。それなのに国民の多数は、この政権を支持している。日本人はバカになってしまったのだろうか。
この危機的状況の根底には反知性主義が蔓延している、との危機意識にもとづき、現代の知性が集結。編者の原稿依頼に応じて、白井聡、高橋源一郎、赤坂真理、平川克美ら、9人の論客が、それぞれの立場から知見を述べている。
タイトルはリチャード・ホーフスタッターの名著「アメリカの反知性主義」から取られた。反知性主義とは、知性の欠如ではなく、知性への憎悪を意味する。知的情熱や理想主義がときに最悪の反知性主義を生み出すから始末が悪い。反ユダヤ主義しかり、マッカーシズムしかり。
では、現代日本の反知性主義とは? 論者によって定義はまちまちだし、論点もさまざまだ。政治家の暴言、へイトスピーチ、ヤンキーの跋扈、マスコミの論調への付和雷同、歴史の軽視……。反知性主義的社会現象も多様。だからこそ、複数の視点が意味を持つ。
複眼的論考が教えてくれる大事なこと。それは、反知性主義は他人事ではなく、うかうかしていると無自覚のうちに取り込まれるということだ。バカになりたくない日本人、必読の書。