料理小説編
「夢みるレシピ」有間カオル著
一人暮らしをするために上京した26歳の千花は、上野駅から恋人の剛史に電話をするが、遠距離恋愛中だと思っていたのは自分だけだったことに気づく。行く当てを失い、安宿を求めて南千住に降り立つと、翔太に声をかけられ、彼が管理人をするゲストハウス「わすれな荘」に泊まる。夜、ドイツ人の2人組や神戸の女子大生など、ゲストが揃い、ベトナム人のクオンが作ったブイヤベースに舌鼓を打つうちに、失恋の悲しみとこれからの生活への不安でいっぱいの千花の心が次第にほぐれてくる。(「ブイヤベースの包容力」)
見知らぬ者たちがともに暮らすゲストハウスを舞台に描く短編集。オリジナルレシピ付き。(角川春樹事務所 590円+税)