「日本とドイツ ふたつの『戦後』」熊谷徹著
かつて同盟国として第2次世界大戦を経験し敗戦国となった日本とドイツは、戦後、ともに物づくり大国・貿易立国として蘇った。しかし、戦後70年を迎えた今、かたやEUのリーダーとして存在感を増すドイツと、競争力を失い周辺諸国と摩擦を抱える日本とはまったく違う道を歩んでいる。その差がどこから生まれたのか。在独25年の著者が、両国の戦後を考察したリポート。
日本との最大の違いは、戦後のドイツ社会は、ナチス時代の過ちへの反省から、何よりも倫理を重視した国家をめざすという原則に貫かれているところにあると指摘。両国の歴史認識や経済、エネルギー政策などを論じながら、日本が今後進むべき道を提言する。(集英社 740円+税)