「『お迎え』されて人は逝く」奥野滋子著
死が近づくと、あの世から「お迎え」がきて連れて行ってくれる――緩和ケア医として2500人を看取ってきた著者は、死にゆく人の前に目に見えない人物やペット、神仏が現れて交流する、これまで言い伝えと思われてきたこの「お迎え」現象が確かに起きていることを実感するという。
60歳の卵巣がん患者が、幼いときに死別した母親に手を握ってもらった「お迎え」現象を経験して、自分の死を受け入れられるようになった様子などを例に、お迎えが本人や周りの家族にどのような効果を及ぼすかを説く。多くの看取りのエピソードを紹介しながら、終末医療のあり方や、穏やかな死のプロセスを提案した「死の予習」ができるテキスト。
(ポプラ社 780円+税)