「薬で読み解く江戸の事件史」山崎光夫著
薬をキーワードに江戸時代の出来事の真相や武将たちの行動の背景に迫る歴史エッセー。
庶民の平均寿命が40歳に及ばない時代に62歳で天下人になり、75歳まで生きた徳川家康は、医薬の研究に余念がなく、薬も自ら製造した。病弱だった家光の主治医を務めたこともあり、奥医師たちが治療できなかった家光の病を治したこともあるという。その家康が愛用した胃腸薬「萬病圓」や、土方歳三が新選組を結成する前に行商していた家伝薬「石田散薬」の復元をはじめ、開明大名として高く評価されながら突然死した島津斉彬の死を蘭方医が残した克明な「容態書」から検証するなど、日本史の裏話が満載。(東洋経済新報社 1500円+税)