「赤い博物館」 大山誠一郎著
捜査1課の巡査部長・寺田聡は、容疑者の自宅に捜査資料を置き忘れるという大失態を犯したため、警視庁付属犯罪資料館に左遷された。館長の緋色冴子と品川署に15年前の事件の証拠品を受け取りに行ったとき、確認作業の際に冴子が興奮の色を見せる。それは大手の製パン会社の社長が殺された事件だった。商品のパンに針を刺すと脅迫され、犯人の要求した5億円を持って指定された廃屋に入った社長が姿を消し、荒川の河川敷で死体となって発見されたのだ。冴子はこの事件を再捜査すると宣言する。(「パンの身代金」)
謎の美人館長と左遷された巡査部長が活躍する警察小説5編。(文藝春秋 1600円+税)