「土風」坂岡真著
浪人などを大名や旗本に派遣する口入れ屋の「蛙屋」を営む忠兵衛は、悪党を闇に葬る「帳尻屋」というもうひとつの顔を持つ。ある日、仙台藩伊達家の出入り旗本・財部家の用人頭・柳瀬から、参勤交代の大名行列に加える300人の供人を集めるよう依頼が舞い込む。人集めに奔走する忠兵衛は、ひょんなことから元幕臣の浜崎と知り合う。浜崎は、上役の指示で、法度を破って集金した小普請金を米相場などに投じたことを悔い、身分を捨てたという。浜崎の協力で300人の浪人を集めることに成功した忠兵衛だが、寸前になって、「山吹屋」に浪人たちを根こそぎ横取りされてしまう。(「入札御免」)
新シリーズ「帳尻屋仕置」開幕編。(双葉社 630円+税)