「つなぐビール」嶌田洋一著

公開日: 更新日:

 1994年の法改正で小規模事業者のビール市場参入が許可されたのを機に、各地で地ビール会社が誕生し、一時は空前の地ビールブームともいえるムーブメントがあった。だが、そんな状況も終わった2001年、盛岡の地にひっそりと産声を上げたビール会社・ベアレン醸造所がある。

 全く知名度のなかった岩手の小さなこの会社は、2015年4月に開催された「世界に伝えたい日本のクラフトビールコンテスト」で最高賞を獲得。日本一のビールと認められるまでになった。

 本書は、脱サラしてこの会社を友人と立ち上げた著者による起業記。なかなか工場建設にすら至らなかった創生期から、タンク事故や東日本大震災など数々の試練を乗り越えて愛好者の輪を広げた今に至るまでの歴史がつづられている。タイトル「つなぐビール」の「つなぐ」とは、多くの人の思いをつなぎ、ビールの歴史をつないでいくという意味。地方の小さな会社が大切にした理念が込められている。(ポプラ社 1400円+税)



【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 4

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  5. 5

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  1. 6

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  2. 7

    大阪万博を追いかけるジャーナリストが一刀両断「アホな連中が仕切るからおかしなことになっている」

  3. 8

    NHK新朝ドラ「あんぱん」第5回での“タイトル回収”に視聴者歓喜! 橋本環奈「おむすび」は何回目だった?

  4. 9

    歌い続けてくれた事実に感激して初めて泣いた

  5. 10

    フジ第三者委が踏み込んだ“日枝天皇”と安倍元首相の蜜月関係…国葬特番の現場からも「編成権侵害」の声が