「一流」と呼ばれた人の必読本特集
「超一流は、なぜ、デスクがキレイなのか?」千田琢哉著
「一流の人」は「普通の人」と比べて、どこがどう違うのか。そもそも何をもって「一流」と定義するかは人それぞれだが……。ともあれ二流・三流と呼ばれることに忸怩たる思いを抱いている人、一流と呼ばれたくて日々頑張っている人にうってつけの本があるので紹介する。一流の一流たるゆえんを教えてくれるはずだ。
オフィスに必ずひとりはいる。机の上に雑然とモノを積み上げ、今にも隣席へ雪崩を起こしそうなやつが。整理整頓できず、モノに埋もれて仕事をしているやつが。
もはや魔窟の主と化したやからにぜひ読ませたい本がある。「超一流は、なぜ、デスクがキレイなのか?」(千田琢哉著 総合法令出版 1200円+税)だ。
片付けられない人間にとっては、かなり耳の痛い文言が並ぶ。「モノが多い=モノに依存していて、自分に自信がない証拠」「机の上が汚い人はたいてい仕事ができない」「片付けられない人は親離れできていない」と鋭く手厳しく指摘。
さらには、そういう人間がひとりでもオフィスにいると、スペースを埋め尽くされ、周囲のやる気も奪うと強調する。「さげまん菌が延」「二流菌に感染」「片付けられないウイルス」など、辛辣かつ毒気の強い表現も多数ある。
というのも、この本は「超一流になりたいと頑張っている人」への指南本だからだ。単純にだらしない人に掃除のコツを教えるだけの本ではない。一流の、さらに上を目指す上昇志向の強い人のための啓発本なのだ。
当然、机の上の話だけではない。時間と金の使い方、時計やカバン、寝具から住居の選び方まで、超一流を目指すならこうするべき、と具体的に断言している。ここまで躊躇なく断定的な指南を連打する本も珍しい。
著者は損害保険会社、大手経営コンサルティング会社に勤務後、独立。3300人以上の経営者、1万人以上のビジネスパーソンとの対話で培った知識を生かし、現在は文筆家である。超一流の人間を数多く見てきた著者本人も、一流であるという強い自負を持つ。
事実、8年で112冊の本を出版し、港区南青山にオフィスを構える成功者だ。
だからこその説得力もある。超一流を目指すならば、生半可な気持ちで日々を過ごすな、というエールが込められているようだ。
不思議なことに、超一流を目指していなくても、読み進めるうちに「身の回りを片付けよう」という気分になる。「1年使わなかった物は貧乏の種」「整理上手は富み、整頓上手は貧しくなる」「机の上の状況は、確実にその人の人生に影響を及ぼす」……半ば脅しに近いダメ出しを浴びせられ続け、感化されるのだろうか。極め付きは「机の上がゴチャゴチャでも仕事ができる人はいる、と逃げない」。
著者が知る、仕事ができても机の上が汚い人は、皆悲惨な結末を迎えたというのだ。まさに言い訳無用、退路すらも断たれるのである。
ビジネスシーンにおける整理と段取りは、人生をも左右する、と著者は言う。良い運気を逃がさないためにも、常日頃から片付ける習慣を身に付けたほうがよさそうだ。