「女剣士」佐江衆一著
男手一つで育てられた里絵は、一刀流小太刀の使い手に成長。やがて同じ道場に通う誠四郎と相思相愛になり、父を江戸に残し、誠四郎が剣術指南役を務める東北の志津野藩へと嫁ぐ。江戸の女剣客の噂は藩内に広まり、武術好きの藩主が、里絵の技を見たいと言いだす。しかし、里絵は嫁ぎ先の市成家に角が立たぬようやんわりと辞退する。
そんなある日、里絵は峠で山犬の群れに襲われていた幼子を助ける。再びその小太刀の腕前が噂となり、藩主の意向で藩内の武術指南役総出の演武会が催されることに。席上、他流の指南役が里絵となぎなたの女剣士との真剣試合を提案する。
女剣士里絵の成長を迫真の剣戟シーンとともに描く長編時代小説。(角川春樹事務所 620円+税)