在宅にせよ病棟にせよ 今や老後は「牢獄」だ
「老人病棟」船瀬俊介著
現代の老人病棟は「薬殺病棟」だ、と環境・医療問題専門のジャーナリストである著者はいう。特養老人ホームの中には入居者の通帳や印鑑を取り上げ、認知症に仕立て上げた揚げ句、薬漬けにし、具合を悪くすると提携先の病院に送り込んでしまうところもある。延命治療といいながら助かる見込みが少ないと見極めると、いきなり大量の薬剤を投与して「最後の荒稼ぎ」に走る病院の姿。長女を医療ミスで失った経験を持つ著者の怒りの筆先は、容赦なく「香典医療」の実態を暴いてゆく。
しばしば処方される降圧剤も実は薬漬けの第一歩。親切づらした医者には要注意だ。(興陽館 1400円+税)