彫刻家、詩人の高村光太郎は、妻の智恵子をうたった詩集「智恵子抄」で知られ、2回映画化されているが、光太郎個人を映画化したものはない。光太郎には智恵子との関係、戦争詩を書いたことを懺悔した転向問題など、いくつかの謎がある。恋人だった智恵子には親の決めた婚約者がいたため、2人の恋は大きなスキャンダルとなった。当時の光太郎の智恵子への気持ちを読み解くカギになるのが「狂奔する牛」という詩だ。もし、光太郎の映画を製作するなら、この詩を映像化することが必要だ。
精神病を発症し、自殺を図った智恵子と光太郎のドラマの映像化を具体的な視点から提案した一冊。(言視舎 1800円+税)