「曹操の人望力」加来耕三著
魏の始祖となった曹操は、矮小化された像が伝わっているが、実は諸葛孔明、関羽と並ぶ「三国志」のベストスリーの一人である。低い出自の曹操が中国大陸の3分の2をたった24年で制圧できたのは、卓越した〈人望力〉があったからである。
曹操がライバルの袁紹と天下分け目の戦いを繰り広げていたとき、逃げ遅れた袁紹の軍師、沮授を捕らえた。曹操は烈士である沮授に一目置いていたので、自分の配下に加えようとしたが、沮授は袁紹の下にいる一族が殺されることを恐れて、自分を殺してくれと頼んだ。曹操は沮授の願いを聞き入れたという。
最強のリーダーだった曹操の、人心掌握の極意を探る。(すばる舎 1800円+税)