「『大正』を読み直す」子安宣邦著

公開日: 更新日:

「大正デモクラシー」の発火点を、近代日本最初の民衆騒擾「日比谷事件」(1905年)とすると、「米騒動」(1918年)をその結節点と見ることができる。こうした歴史的局面で、集合し抗議の意思表示をする不特定の社会的集合体「大衆」が存立した「大正」は、「大衆社会」成立の時代だと著者は説く。

 本書は、大正前夜の「大逆事件」をはじめ、幸徳秋水の「直接行動論」、大杉栄の思想、河上肇の「貧乏物語」などを読み解きながら、昭和の全体主義を生み落とした「大正」について考察した歴史テキスト。「大衆的喝采」なしには「全体主義」は成立しない。大正の「大衆社会」の早期的成立が昭和の全体主義成立、そして現代へとつながる背景を論じる。(藤原書店 3000円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    べた褒めしたベッツが知らない、佐々木朗希"裏の顔”…自己中ぶりにロッテの先輩右腕がブチ切れの過去!

  2. 2

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    巨人・田中将大“魔改造”は道険しく…他球団スコアラー「明らかに出力不足」「ローテ入りのイメージなし」

  5. 5

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  1. 6

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  2. 7

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…

  3. 8

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  4. 9

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  5. 10

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…