「天文学者たちの江戸時代」嘉数次人著
日本の天文学の大転換点となった江戸時代の天文学者たちの業績やその人生を紹介する江戸科学エッセー。
中国の暦を輸入して使っていた日本は、862年に宣明暦を輸入、施行して以来、それまで行っていた改暦を行わず江戸時代に突入。17世紀の終わりに新しい暦が編纂され、約800年ぶりとなる改暦が実施される。その暦編纂の中心人物だった渋川春海をはじめ、改暦を断行するため自ら天文の観測も手掛け、西洋天文学を紹介した中国の書物群「漢訳天文書」の輸入を命じた徳川吉宗、その漢訳天文書によって新しい宇宙観を確立した麻田剛立など。
はるかなる宇宙に思いを馳せた先人たちの人生とその思索の過程をたどる。(筑摩書房 780円+税)