「龍馬の家計簿」大村大次郎著
浪人だった坂本龍馬が、私設海軍・海援隊設立の資金をどのように調達したのか。龍馬のそんな「懐具合」を追いながら、人生をたどる歴史読み物。
龍馬が、脱藩時に持っていたのは親戚などから借金して集めた約20両。それは半年ほどの生活費にしかならない額だった。道が開けるのは福井藩主・松平春嶽との出会いから。勝海舟が設立した海軍塾の塾頭のような立場になった龍馬は、春嶽から1000両(5000両ともいわれている)もの支援金を引き出している。海軍塾仲間の生計を守るために龍馬が設立した亀山社中の内情や、妻のおりょうの経済感覚、そして死の1カ月前にも知人に金を無心していたという龍馬の虚実入り乱れる人生を金銭面から検証し、その真相に迫る。(河出書房新社 1300円+税)