「遠い唇」北村薫著

公開日: 更新日:

 向井さんは、作家の私が新人のころから親しくしている編集者。新著が出ることになり向井さんの出版社を訪ねた私は、数年前に亡くなった彼女の夫の話を聞く。入院中の夫に頼まれ、和菓子の「黄身しぐれ」と「葛ざくら」を届けたら、夫は包み紙の裏に「しりとりや 駅に かな」と書いて、「駅に」と「かな」の間に黄身しぐれを置いたという。俳句をたしなむ向井さんへの謎かけらしい。

「駅に君 時雨かな」と読み解いた私に向井さんは、高校時代の夫との出会いを語りだす。しかし、字数も合わず、「しりとりや」の意味も分からず、俳句にもなっていない。(「しりとり」)

 ミステリーの名手が人の心にわだかまる「暗号」を解いていく短編。(KADOKAWA 1400円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  2. 2

    中日1位・高橋宏斗 白米敷き詰めた2リットルタッパー弁当

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  5. 5

    眞子さん渡米から4年目で小室圭さんと“電撃里帰り”濃厚? 弟・悠仁さまの成年式出席で懸念されること

  1. 6

    悠仁さま「学校選抜型推薦」合格発表は早ければ12月に…本命は東大か筑波大か、それとも?

  2. 7

    【独占告白】火野正平さんと不倫同棲6年 元祖バラドル小鹿みきさんが振り返る「11股伝説と女ったらしの極意」

  3. 8

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 9

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  5. 10

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議