時代に翻弄される「沖縄の底力」
「反骨」松原耕二著
副題に「翁長家三代と沖縄のいま」。かつて自民党の保守本流にありながら、いまや安倍政権と最も鋭く対峙して一歩も引かない翁長雄志・現沖縄県知事。その家系をたどり、その力の源泉を知ろうとする試みだ。
首里の琉球王朝に仕える下級士族だった翁長家の先祖。貧しいながらも誇り高く、農民に身を落としながらも孫の教育に熱心だった祖父。父は教師を務めた後、戦後は自民党から出馬して旧真和志市(のち那覇市に編入)の市長になった。革新政治の強い土地柄で保守を通した家系にあって、なおアメリカと日本本土に対して鋭い対決姿勢を崩さない。その内面に迫る伝記ルポ。著者はTBSで報道畑一筋のジャーナリストだ。(朝日新聞出版 1500円+税)