スマロス症候群まで巻き起こした「SMAP解散」とは何だったのか

公開日: 更新日:

「SMAPと平成」中川右介著

 前代未聞の成り行きで流れ解散したSMAP。おかげで“スマロス”騒ぎまで起こっているらしい――。

 SMAP論には2種類がある。ひとつは熱心なファンが楽曲や出演番組やCMまでをネタにあれこれと思いを語りつづるもの。もうひとつは、彼らの活動の歴史背景との関わりを通してアイドルと時代を語ろうとするもの。前者はSMAPと同世代の40代以下の著者に多く、後者はもっと年長の著者に多い。つまりアイドル文化に対する姿勢が世代で分かれるわけだ。本書は明らかに後者。

 話題はSMAPの生みの親・ジャニー喜多川の人生から始まる。アメリカで生まれ、戦後は米軍の情報機関で働いたらしいジャニーの謎めいた人生。それまでのアイドルが貧乏な生い立ちを背負っていたのに対し、全員70年代生まれのSMAPは芸能界にありがちな貧乏物語とは無縁だった。それが昭和天皇の容体が悪化する直前にグループとなり、平成の始まりとともに一気にスターダムへ駆け上がっていったのだ。その陰で田原俊彦男闘呼組や光GENJIらは無残にも凋落していく。

 政界再編や地下鉄サリン事件など日本社会の激しい変化の中で輝き続けたSMAPとは何だったのか。著者はクラシックやポップスなど音楽雑誌のベテラン編集者だ。(朝日新聞出版 820円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  2. 2

    中日1位・高橋宏斗 白米敷き詰めた2リットルタッパー弁当

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  5. 5

    眞子さん渡米から4年目で小室圭さんと“電撃里帰り”濃厚? 弟・悠仁さまの成年式出席で懸念されること

  1. 6

    悠仁さま「学校選抜型推薦」合格発表は早ければ12月に…本命は東大か筑波大か、それとも?

  2. 7

    【独占告白】火野正平さんと不倫同棲6年 元祖バラドル小鹿みきさんが振り返る「11股伝説と女ったらしの極意」

  3. 8

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 9

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  5. 10

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議