「アリガト謝謝」木下諄一氏
とはいえ、200億円もの寄付金が集まったのはそれだけでは説明がつかない。
「根本的に、台湾人は困っている人を助けたい、という気持ちが強いんです。日本以外の国への災害にも多額の義援金を送っていますから。助けるには、お金やモノがいい、とストレートに考えるのも台湾人の特徴ですね」
学校や街中で「1日1元。日本の被災地の人たちに愛を送りましょう」と呼びかけ、6307元(約1万8000円)をコツコツ集めた小学生たち。震災直後の東北に入り、毛布や、温かいカレーライスを作って配った日本帰りの年配の女性。日本で菓子修業し、台湾に戻って菓子会社を成功させた菓子職人は、震災直後、3日間の全社の売り上げ全額を寄付した。
そんな市井の人々の心情や寄付活動の事例が詳細に紹介され、震災直後の台湾の様子がリアリティーをもって伝わってくる。
「当時、台湾各所であった同じような事例を組み合わせて紹介しているので、ルポではなく小説とうたっていますが、7割は事実です」