「生物はウイルスが進化させた」武村政春著
ウイルスは人に害を与える厄介者のイメージがある。しかし、最近はその常識が覆され、「ウイルスは生態系になくてはならない恩人である」という構図もでき始めているという。そのキッカケが巨大ウイルスである「ミミウイルス」の発見なのだそうだ。
著者は東京理科大学理学部第一部教授の生物学者。ミミウイルスを見つめることは「生物とは何か」「ウイルスとは何か」など根源的な問題をコペルニクス的な転回を余儀なくされる可能性を秘めている、と主張する。いまや病気の多くは感染症などによる慢性炎症が原因といわれるだけに、ウイルスの正体と人体内での働きを知ることは興味深い。(講談社 980円+税)