個人情報を蓄積したビッグデータ 中国も注目するその正体

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「ビッグデータという独裁者」マルク・デュガンほか著、鳥取絹子訳

 いま地球全体では1分間に30万件のツイートが発信され、グーグルでは200万件のキーワードが検索され、2億4000万件のメールが発信されている。その一つ一つが個人情報として記録され、集積され、各ネット企業の隠れ資産、すなわち膨大な広告収入などの基盤となっている。

 この、断片的だが驚異的な蓄積がビッグデータ。本書はその危険性を論じたフランスで話題の書。

 ICチップを埋め込んだ交通系カードで改札を通り、スーパーやコンビニの買い物でポイントを貯め、ネット通販でショッピングするたびにデータの量は刻々と増加し、利便性も増してゆくが、実はすべての行動を逐一報告しているも同然。

 つまり、自分から監視されに行っているようなものだと批判する。だが、この時代は昔と違って人々の行動を規制しない。逆にこれまでの行動のデータを分析し、そのアルゴリズムからあなたが次にどう動くかを予測し、先回りして介入するのだ。オーウェルが「1984」で描いたのより何倍も何十倍も恐ろしいビッグデータという名の牢獄(ろうごく)がそこにある。(筑摩書房 1500円+税)

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