個人情報を蓄積したビッグデータ 中国も注目するその正体
「ビッグデータと人工知能」西垣通著
ドイツが推進する「インダストリー4・0」。第4次産業革命を意味する「かなり大袈裟なネーミング」(本書)だが、ドイツでは2010年以降、国策として進められている。その目的はコンピューターとロボットが生産現場の主役となる「スマート工場」の実現。これはIoT(モノのインターネット)、つまり各機器にマイクロプロセッサーを組み込み、かつ病院や道路やその他公共的なところにコンピューターを配置するビッグデータ技術を組み合わせたことで可能になった。90年代から日本の情報社会に寄り添ってきた著者は、その現状を紹介しつつも前途を楽観視しない。
ビッグデータは、自然災害や事故、さらにテロなどのリスクを軽減するセキュリティーの観点からも期待されているが、人工知能の時代に必要なのは本当の人間的知性だと説く。(中央公論新社 780円+税)