「未来へ…」(上・下)新井素子著
2012年1月、多賀内家の一人娘・菜苗が成人式を迎えた。祝いの席で、菜苗から突然、仏壇を出して欲しいと言われた父親の圭一と母親の若葉は絶句する。5歳で亡くなった菜苗の双子の姉・香苗のことは、今まで封印してきたので、菜苗も覚えていないと思っていたのだ。
2人は一卵性双生児だったが、活発で健康な姉に対して、妹は病弱で毎週のように熱を出すなど、正反対だった。保育園の遠足で交通事故に巻き込まれ、香苗が亡くなったときも、若葉は自宅で菜苗の看病をしていたのだ。言われたまま仏壇を出したその日の夜から、若葉は不思議な夢を見るようになる。
夢を介して16年前に亡くした娘を救おうと挑む母親を主人公にしたハートフルファンタジー。(角川春樹事務所 各680円+税)