「医者の9割はうつを治せない」千村晃氏
今や100万人にも及ぶうつ病患者。国民病ともいうべきこの“病”の対策に政府は力を入れているが、患者数が減る気配はない。その理由は何と、タイトルにもあるように「医者の多くがうつ病を治せない」からだという。
「そもそもうつ病患者が増えた背景には、政府による自殺予防対策が根底にあるんですね。自殺者が多いのは職場のパワハラや残業でうつになるからだと考え、ならば、うつ病を減らそう、と早期発見に力を入れるようになりました。同時に、ネットを通じてうつの情報が広がり、自己診断する人が増加。医者は患者の訴えを否定する確証はありませんから、最終的にはうつの診断を下さざるを得ない。今の社会には、“うつ”というゴールに向かってシナリオが出来上がっているんです」
著者は現役の精神科医。独自の診察方法で2000人の患者を快方に向かわせた経験から、メンタルの医療現場で起こっている誤解だらけの治療と患者の置かれた環境に警鐘を鳴らす。
体の病と違って心の病であるうつに、決定的な治療法は見つかっていない。