「ナチスの『手口』と緊急事態条項」長谷部恭男、石田勇治著
憲法学者と、ナチス・ドイツ研究の第一人者である歴史家による対談集。
麻生副総理は、かつて改憲論議に関する演説で、ワイマール憲法を変えたヒトラーの政治手法に学んだらどうかと語った。ヒトラーがワイマール憲法を無効化し、独裁体制を樹立するために乱用したのが、憲法48条に規定された「大統領緊急措置権」だった。5年前に自民党が発表した憲法改正草案の目玉のひとつ「緊急事態条項」は、まさにこの「大統領緊急措置権」に相当するという。体制を壊さないよう備える仕掛け=緊急事態条項が、戦前のドイツでは体制そのものを壊す道具として利用された。
かの国の歴史を検証しながら、安倍首相と自民党ががむしゃらに進める憲法改正の真の意図に迫る。
(集英社 760円+税)