いまさら聞けない仮想通貨入門
「『仮想通貨投資』入門」戸田俊司著
近ごろの儲け話といえば「仮想通貨」。でも、その仕組みは?
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「この本は仮想通貨の初心者であった私が、同じく初心者、または知識ゼロの人に向けて執筆した本です」という著者は、ビットステーション㈱代表取締役兼CEO。仮想通貨取引所の経営者による解説書というわけだ。
実は著者も、ほんの1年前までは仮想通貨を知らず、そもそも投資にあまり興味がなかったという。それが知人の紹介でビットコインを買ったところ「投資額の10倍以上のリターン」を得た。それだけでマユツバに聞こえてしまうが、中身はいたって初歩的な解説。まさに「いまさら聞けない」購入法や口座開設の手順などを解説する。
比較的リスクの少ない初心者向けの「アービトラージ」でも、時々刻々と変わる取引の監視を怠れない。「仕事をしながら、家事をしながら、という取引には向いていません」。つまり、やるなら本気でというわけだ。ビックカメラ、楽天などビットコイン決済のできる小売業者も出てきた。
今後は、クレジットカードの手数料の高さに困っている小売りや飲食業に広まってゆく可能性もある。ともあれ取引するならくれぐれも慎重に。法整備も未熟な現在、大損しても誰も守ってくれませんよ!
(幻冬舎 1500円+税)
「入門 ビットコインとブロックチェーン」野口悠紀雄著
仮想通貨の入門書は数あれど、著者の知名度ではこれが抜群か。Q&A方式で初心者向けの解説が並ぶ。
「ビットコインアドレス」「ウォレットID」など素人がとかくまごつきがちな仕組みへの注意徹底が現状では不十分と警告もちらほら。仮想通貨は今後、①「ビットコインのような民間取引所主体」より、②「メガバンクなどの銀行が発行」したり、③「各国の中央銀行が発行する」ものへと主流が変わっていく可能性も高い。
①は民間に取引が分散する自由主義型、②は仮想通貨間の競争が促され、通常の通貨とは別の経済圏として独立する可能性もある。③は全国民を監視する「ビッグブラザー」型の未来という。
(PHP研究所 890円+税)
「仮想通貨とブロックチェーン」木ノ内敏久著
濡れ手で粟のぼろもうけを企むやからのイメージが強いビットコインだが、元は60年代のカウンターカルチャーの思想を継ぐ90年代の「サイファーパンク」(暗号化で権力に対抗するパンク)の実践から始まったという。
ネット上で「サトシ・ナカモト」と名乗る謎の人物が、中央管理を経ずに仮想通貨の取引を認証できる仕組みを考案。権力者が一元的にすべての情報を集めるのではなく、誰の取引でもその履歴を決して消去できなくし、ネット上の全員が、みんなで見守る分散型の管理システムになったわけだ。
うさんくさいイメージとは真逆に、改ざんや二重使用を衆人環視で防ぐという画期的な発想なのだ。日経新聞のベテラン経済記者による一味違う解説書。
(日本経済新聞出版社 900円+税)