「一度は読んでおきたい現代の名短篇」湯川豊著

公開日: 更新日:

「読む愉しみ」が満喫できる短編小説を厳選して紹介する文学ガイド。

 まず取り上げられるのは、文章に全く無駄がなく、「短編の鑑」と称賛する松本清張の「張込み」。何度か映像化もされて、張り込みをする刑事の緊張感を主体にした推理小説と思われがちだが、この作品はそういうものではないという。殺人犯を追う刑事が、現在は年上の夫と継子と暮らす犯人の元恋人の家を張り込むというストーリーを紹介しながら、作者は主人公の若い刑事がその女を見る視線を通して、人間が背負っている悲しみを描いていると解説する。その他、2人にしか見えない駅のホームの柱に生えるキノコを通して若い女性とヤクザの心の交流を描く三浦しをん著「柱の実り」など、44編を案内。

(小学館 860円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動