「宴の前」堂場瞬一著
16年間、県知事を務めた安川美智夫は、引退表明はしたものの、後継者を決められずにいた。
副知事の白井が後継者になると思われていたのだが、選挙の告示2カ月前という時点で、白井がくも膜下出血で倒れる。そのころ、県出身の元五輪メダリストでJOCの強化委員を務める中司涼子は、アルペン競技について地元紙のインタビューを受けていた。これがいいタイミングかもしれないと思いついた涼子は「私、知事選に出ようと思います」と切り出す。
一方、白井が急死し、安川は後継候補に考えていた人物の女性問題が発覚し、後継者を決められない。そして、ある決断をする。
地方の「王権」をめぐる熾烈(しれつ)な争いを描く選挙小説。
(集英社 1800円+税)