「会計の世界史」田中靖浩著
会計の歴史というと、数式や専門用語が出てきてとっつきにくそうなイメージだが、本書はそれを見事に裏切って、楽しい読み物となっている。
まず登場するのはルネサンスの天才、レオナルド・ダビンチ。公証人を父に持つ彼のエピソードを交えながら、イタリアで簿記が発祥した歴史を説き起こす。
次に、レンブラントを枕に、オランダの東インド会社に始まる株式会社と証券取引所の歴史を説明。舞台は変わって、産業革命時代のイギリス。スティーブンソンが発明した蒸気機関車が端緒となって減価償却という考えが生まれたことを解説。
さらに、カーネギー、ロックフェラー、J・P・モルガンといったアメリカの大富豪たちを登場させて、大量生産、分業、原価計算などの方式が広まっていく経緯をたどっていく。
その他、ビートルズの楽曲の権利を買い取ったマイケル・ジャクソンを例にコストとリターンの問題を説明するなど、有名人のエピソードを楽しみながら会計の勉強ができるという優れもの。
(日本経済新聞出版社 2200円+税)