「つながっているのに孤独」シェリー・タークル著、渡会圭子訳

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 コンピューターが登場し、人工知能(AI)が持ち得る知能についての議論が盛んにされていた頃から約30年が経過した今の時代、テクノロジーは私たちの生活に欠かせないものとなっている。しかしスマホ、SNS、VR、ロボットなど、生活を便利にするはずのテクノロジーは、いつしか人間の心に大きな影響を及ぼし始めた。本書は、臨床心理学者である著者が、人とテクノロジーの交流について実地研究したものを基にまとめたものだ。

 主に、人とコミュニケーションをしているかのように設計されたコンパニオンロボットとの関係と、常に外部に接続されているネットワーク社会での心の変化に関する2つの側面について考察している。物理的な距離よりも、使えるコミュニケーションツールによって人とのつながりを分断し得る社会では、体がそこにあっても心がそこにいないことが起こり得る。

 道具だったはずのテクノロジーに翻弄される人間の心について考えさせられる。

(ダイヤモンド社 2800円+税)

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