「日本の伝説江戸東京」藤沢衛彦著

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 徳川家康の時代、四谷忍町に住んでいた田宮伊右衛門に於岩という娘がいた。於岩は生まれつき醜く、21歳になっても嫁のもらい手がない。ところが摂州出身の浪人・聟を婿養子に迎えたところ、2人は予想外に仲むつまじく、また愛嬌がある聟は上役・伊東喜兵衛にも引き立てられるほどだった。

 そんなある日、喜兵衛の妾が懐妊。困った喜兵衛は聟に押しつけることを思いつく。最初のうちこそ固辞していた聟だが内心は大喜びし、計策を尽くして於岩と離縁。やがて欺かれたと知った於岩は、姿を消す。

 その後、田宮家には種々奇怪が続き、喜兵衛も怪死。田宮家の旧地に住むものにも奇怪が出続けたという。(「四谷怪談」)

 ほか、「浅草観音由来」「八百屋お七」など26話を解説と共に収録。日本の伝説シリーズ全9巻の第1弾。 (河出書房新社 1950円+税)

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