「大江戸怪談 どたんばたん(土壇場譚)」平山夢明著
江戸の庶民たちを主人公に描く時代物怪談集。
深川の長屋に住む弥八は、仕事も続かず、賭け事と酒に溺れる日々を送っていた。ある日、賭場で顔見知りになった半三という男から、長屋の隣人で盲目の按摩(あんま)から金を奪い取る話を持ちかけられる。その按摩、佐渡の市は客の金をくすねて貯め込んでいるのだが、留守の間に探しても隠し場所が分からないというのだ。
弥八は半三の部屋の穴から佐渡の市を見張るが、やはり隠し場所は分からない。そうこうしているうちに、借金取りに追われ、命が危なくなった弥八は、思い切って佐渡の市に按摩を頼み、自分の金を盗ませる。それをどこにしまうか見届けようという算段だったが……。(「地獄畳」)(講談社 600円+税)