「ショートショート美術館」太田忠司、田丸雅智著

公開日: 更新日:

 小学生の「私」は、自分が属している場所や家族にどうしてもなじめなかった。冬の日、私は家に帰るときは右に曲がる交差点を左に曲がった。そして交差点に出るたびになじみの薄い方向に進んで、見知らぬ町に着いた。見上げると青空が見えるのに、町の中は夜のように暗い。薪が燃える暖炉の前で揺り椅子に座って編み物をしていた老女が私を家に招き入れた。温かいミルクを飲ませて「ここはずっとずっと夜が続く町だよ」と教えてくれた。「暗くても、ここは住みよい町だ。坊や、生きるのが辛かったんだろ?」。(「夜の町」/太田)

 ルネ・マグリット「光の帝国Ⅱ」など、10の名画をテーマに2人の作家が競作。

(文藝春秋 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出