「サイレンズ・イン・ザ・ストリート」エイドリアン・マッキンティ著 武藤陽生訳
ベルファストの工場で人間の胴体が入ったスーツケースが見つかり、刑事・ショーンらが捜査に乗り出す。検視の結果、被害者は植物から精製されたアブリンによって毒殺され、しばらく冷凍されていたことがわかった。やがて入れ墨から、被害者がアメリカ人の元軍人と判明。ショーンらがスーツケースの持ち主を突き止め、自宅を訪ねると、持ち主のマッカルパインはテロ組織IRAによって数カ月前に暗殺されていた。夫人によるとスーツケースは救世軍に寄付したものだという。ショーンはイギリス軍予備役の一員だったマッカルパインの死にも不審を抱く。
フォークランド紛争の余波を受けた1982年の北アイルランドを舞台に2つの事件が交錯する長編警察小説。
(早川書房 1180円+税)