「内通者」堂場瞬一著
千葉県警捜査2課の係長・結城は、部下らと堤防の補強工事を巡る収賄容疑で建設会社の藤本と県庁土木局の部長・会田の内偵を続けていた。きっかけは建設会社の社員・椎名からの内部告発だった。藤本と会田が通じていることは明らかだが、決定的証拠がつかめない。
2人の監視を続ける中、教員をしている結城の妻が学校で倒れ急死。悲しみから逃れるように捜査に戻った結城に、いつもは刑事の花岡を通じて情報をもたらす椎名が、接触してきた。椎名の情報通り、入札前夜、藤本と会田に動きがある。一方、母の葬儀を終え下宿先に戻った結城の娘・若葉は、見知らぬ男から電話で「あんたは結城の娘じゃない」と告げられる。
名手による徹夜必至の長編警察小説。(朝日新聞出版 760円+税)