「無子高齢化 出生数ゼロの恐怖」前田正子著
日本の人口は2040年代に1億人を割るといわれ、そのときは65歳以上の高齢者が4割を占める超高齢社会が到達する。このように日本の出生率が下がり続ける理由を、元横浜市副市長の著者は「戦後の人口動向を政府が読み間違った」ためだとズバリ言う。
団塊ジュニアとポスト団塊ジュニア世代の未婚化が進んだことが大きな要因だが、それは若者のせいではなく、むしろ彼らは時代の被害者である。バブル崩壊後、生き残りに必死だった企業が新規採用を抑制し、非正規化を進めたため、若者が安定した職につけず、働いても収入が低ければ、結婚・出産は難しい。それが現在の“無子高齢化”を生んだと指摘。さらに、貧困対策と就労支援など包括的な子育て・若者支援政策の必要性を訴える提言の書だ。
(岩波書店 1700円+税)