「ペニスカッター」和田耕治 深町公美子著
和田は大学時代に、上顎がんの摘出手術を受けて顔が半分なくなった患者を見て、命は助かったがつらいだろうと感じた。このとき受けた衝撃から、形成外科医を目指す。
形成外科から美容外科に移ったころ、ニューハーフの除睾手術を担当する。当時、性転換手術を行っている医師がいたが、昭和44年のブルーボーイ除睾手術事件で優生保護法違反で処罰され、それ以来タブーになっていた。
だが和田は、これは正当な医療であると確信して引き受ける。
「法律が許さないからといって、一人の悩める人間を見て見ぬふりをするわけにはいかない」という信念をもって、600人以上の性転換手術を行った医師を描くノンフィクション。
(方丈社 1400円+税)