「座席ナンバー7Aの恐怖」セバスチャン・フィツェック著、酒寄進一訳
飛行機恐怖症の精神科医マッツ・クリューガーは、乳児連れで困っていた女性に7Aの座席を譲った。他に予約しておいた、飛行機で最も安全な47Kの席に移ろうとしたら、そこには男が熟睡していた。仕方なく、通路側の席に座った。
飛行中、亡き妻が使っていた香水の匂いがするのに気がつき、不安になったとき、マッツのポケットのiPhoneが振動した。電話の相手は、自分の指示に従わなければ妊娠中の娘の命はないと脅し、猿ぐつわをされた娘の画像を見せた。そして、機内にマッツの元患者がいる。その患者の殺人願望を再活性化させ、飛行機を墜落させろと指示したのだ。上空数千メートルを飛ぶ「密室」を舞台に繰り広げられる戦慄のサスペンス。
(文藝春秋 2250円+税)