「海外名作映画と巡る世界の絶景」インプレス編集部編
イタリア・ローマのスペイン広場やトレビの泉、コロッセウムなど、人気観光スポットには一年を通じて世界中から人々が集まり、賑わう。これほどまでに世界中から人々が集まるのは、その景観や歴史、由緒もさることながら、あの名作映画「ローマの休日」の影響も大きいのではなかろうか。
映画を見た多くの人が、スペイン広場でオードリー・ヘプバーンが演じたアン王女を真似て、ジェラートを手にあの大階段に座ったことだろう。
本書は、そんな名作映画に出てきた素晴らしい風景やロケ地、舞台となった絶景を集めた写真集である。
ベストセラー小説を映画化して大ヒットした「ハリー・ポッター」シリーズの冒頭、主人公のハリーがホグワーツ魔法魔術学校に入学するため向かうのがキングスクロス駅。登場人物たちが次々と吸い込まれるプラットホーム94分の3への入り口の壁には、写真撮影用に壁に半分埋もれたカートが置かれている。
また、期待と不安を胸にしたハリーらを乗せたホグワーツ行きの列車が走り抜ける印象的なシーンとなったあの美しいアーチの陸橋は、スコットランドのウエストハイランド鉄道のルートにあるグレンフィナン陸橋で、世界最古のコンクリート製の橋だそうだ。
他にも、シリーズを通して魔法学校の回廊シーンの撮影場所となった1300年以上の歴史を誇るグロスター大聖堂など、英国内の9スポットを映画のシーンとともに案内。
1977年からシリーズが続き、この冬にもエピソード9の公開が予定されている「スター・ウォーズ」は、世界各地の絶景や遺跡がロケ地となっている。エピソード1で幼少期のアナキン・スカイウォーカーが母親と暮らしている奴隷居住区は、チュニジア南部の伝統的村落「クサール」で撮影された。これらの穴居住宅は、もともとは先住民のベルベル人がアラブ民族の侵略から身を隠すために穴を掘ったのが始まりだという。同じくエピソード1に登場する惑星タトゥイーンの都市のひとつ「モス エスパ」のセットはサハラ砂漠の北に位置する同国のトズル郊外につくられ、撮影後もそのまま残され、人気の観光地となっている。
またエピソード2に登場するアナキンとアミダラの結婚式のシーンを撮影したミラノのコモ湖畔に立つバルビアネッロ邸は、映画公開後に観光地として人気を集め、今では映画のように結婚式を挙げることもできるそうだ。
さらに「ミッション:インポッシブル」や「ロード・オブ・ザ・リング」「アメリ」「フォレスト・ガンプ 一期一会」など大ヒット映画15作をはじめ、アニメなども網羅して世界各地100カ所以上を紹介。映画ファンにとっては「聖地」巡りの格好のガイドブックとなってくれる。
実際に現地を訪ねるのはもちろん、思い出の映画を見直しながらページを開けば、より一層、作品の世界に浸れること間違いなし。
(インプレス 3500円+税)