「おつまミステリー」浅暮三文著
「レーズンバター」は駄菓子や乾物でもなく、焼き鳥や唐揚げほどしっかりしていない、緩衝地帯にあるおつまみである。
レーズンバターの起源は古く、実は葬儀と関わりが深い。フュネラルパイ=レーズンパイは葬儀の翌日に食べられるもので、近所の人などが持ち帰る、ヨーロッパ版の葬式饅頭である。これが主にカトリックの習慣であることが判明。キリスト教の象徴はパンとぶどう酒だから、レーズンバター菓子は死者を弔う縁起を担ぐものだったのでは、と著者は推測する。(「レーズンバター」)
他にチーズ鱈やラッキョウなど、「おつまみの素顔」に迫るエッセー。飲み会の話題にぴったり。 (柏書房 1800円+税)