話題の"トリセツ本"特集
「親のトリセツ」保坂隆著
最新デジタル機器など、ややこしそうなモノの扱いに困ったとき、まず開いてみるのは取り扱い説明書(トリセツ)の類い。先の見えないこの世を渡るには、ひょっとしたらこの手の各種トリセツ本の活用が必須なのかもしれない。ということで、今回は、定年夫婦、親、体、モンスター社員、困った夫の5つのトリセツ本をご紹介!
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人間は年をとると、自らのやり方に固執し、頑固になるといわれている。今やテコでも動かない親に何らかの対処をしなければならなくなったとき、あなたはどうするだろうか。本書は、大事にしたいと思いつつも、負担が大きい親問題と直面したとき、我々がどうすべきかを指南してくれる救いの本。
たとえば、運転免許証返納問題の場合、正面から切りだすよりも、タクシー利用に切り替えた場合の経費と自家用車の維持経費を比べてみせる、どうしても無理なら、アクセルとブレーキの踏み違い防止装置を勧めるなどの策が良いのだとか。
そして、何よりも一番効果的なのは、子どもや孫から言われる「心配なんだ」という率直な言葉。子どもに心配をかけたくないと思っている多くの親にとって、どんな忠告よりも心に響くのだ。
(中央公論新社 840円+税)
「夫のトリセツ」芦澤多美著
月給15万円、「死にたい」が口癖で、覇気がない夫をもてあまし、喧嘩を繰り返していた著者が、夫婦で幸せになる方法はないものかと試行錯誤した末に見つけた、夫のトリセツとなる55の法則を紹介しているのがこの本。
たとえば、毎日の暮らしを楽しくしたいなら「買い物に行ったら自分の好きなものを先に買う」アクションを提案。良い妻になろうと自分を後回しにしていると不満がたまってしまい、この気持ちが結局夫や子供に悪影響を及ぼす。
こうしたアクションに共通するのは、相手を変えようとせず、自分が幸せな気持ちでいることを大事にすること。夫婦がお金も幸せも両方得るために、妻側ができることを多数挙げている。夫に限らず、人間関係で困ったときの対処法を考えるヒントになるかも。
(マキノ出版 1450円+税)
「定年夫婦のトリセツ」黒川伊保子著
夫婦の危機は7年ごとに訪れるという説を唱える著者が、夫婦最大の危機ともいえる定年期を、いかに乗り切るかを紹介したのがこの本。著者によれば、「男女」でいられる最初の7年、「戦友」の7年、「関心と無関心のゆらぎ」の7年を経て、「腐れ縁」期へと突入し、そこから「阿吽の呼吸」期か「絶望」期かに分かれていくらしい。
だが、そこに立ちはだかるのが定年。仕事や子育てを理由に向き合うことを避けてきた男女がツケを払う時期なのだ。ここで男女が互いの違いを理解せずに行動すると悲劇が訪れる。本書では、夫と妻、それぞれに5つの禁則事項を提案。加えて妻側から「一緒にいる意味がない」と言われたときは、本書巻末掲載の挽回の呪文を唱えよと提言している。ヤバいと感じたら、即本屋へGOだ。
(SBクリエイティブ 800円+税)
「マンガでわかる心理学的に正しいモンスター社員の取扱説明書」杉山崇監修 早川ナオヤ作画
常に自分が上位にいることをちらつかせるマウンティング女子、部下を次々とつぶすクラッシャー上司、ターゲットに心理的圧力を加える社内プレデターなど、職場には好むと好まざるとにかかわらず困った隣人が存在する。万一、こうしたモンスター社員の被害に遭いそうになったら、どう対処すべきなのか。本書は、臨床心理士である著者が心理学的見地から、具体的にその撃退テクニックを紹介したコミック本。
毎回トラブルに巻き込まれる新米社員・梶山彩香を主人公に、いざというときの防御法をマンガで解説している。たとえば、マウンティングを避ける方策として、逃げる、負けておく、身を隠すの3つを伝授。蹴落とす必要がないと相手に思わせることで矛先が向くのを防ぐのだ。
心理学を駆使して早めにモンスターを撃退しよう。
(双葉社 1200円+税)
「トリセツ・カラダ」海堂尊著 ヨシタケシンスケ絵
毎日お世話になっていながら、自分の体について正確に知る人は少ない。健康診断で赤信号が点滅して初めて、(俺の体は、こんなことになっていたのか……)と気づくのが定番だ。ならば、そんな事態になる前に、体の仕組みを知っておこう。ベストセラー作家兼医師の海堂先生の知識を、いま大人気の絵本作家が図解してくれる本書なら、子ども並みの好奇心さえあれば、体の基礎知識をマスターできる。
たとえば、体には口から肛門までつながる消化器官の穴があるので、体はちくわのようなものだという。ちくわ的には、体の内側だと思いがちな消化器内部は外気に通じるらしい。ほかにも体の表皮=マンションの外壁、内臓の粘膜=マンション廊下の壁説なども紹介。難しい医学知識も、絵に助けられてスルリと頭に入りそう。
(宝島社 950円+税)