「流浪の大地」本城雅人著
大手ゼネコンの鬼束建設の新井は名うての「シールド屋」だったが、3年前の高速道路談合事件の首謀者の濡れ衣を着せられて以来、閑職についていた。そんなある日、日本初の統合型リゾート(IR)の案件を任せられることになり、新井は意気込む。その新井に元部下で今は建設コンサルタントの根元が近づいてきた。
同じころ、中央新聞の記者・那智は、伝説の調査報道記者と呼ばれた伯父が残した黒塗りの建設工事資料と格闘していた。書き込まれたアルファベットや数字は何を意味するのか。やがて那智たちは、IR入札の不正を嗅ぎつけ取材に走る。そしてついに不正の証拠のカギを握る“スミス”とSNSを通して接触に成功する。
一方、新井は、3年前の事件の際に接触してきた弁護士の徳山と会うのだが……。
ゼネコンの闇と、政財界を巻き込んだIR開発を舞台にした長編小説。国内企業VS外資系IR事業者の対立、キーマンの正体など読み応えたっぷりの、国家謀略サスペンス。
(KADOKAWA 1800円+税)