「フランス怪談集」日影丈吉編
66歳の老司祭ロミュオーは、問われるまま、若き日の奇怪な体験を語り出す。神学校を終え24歳で迎えた叙品式の最中、それまで信仰一筋に生きてきた彼は、参列していた美女に恋をしてしまう。美女は宮殿に住むクラリモンドという名の遊女だった。
彼女が忘れられないロミュオーだが、数日後、代理司祭として町から遠く離れた村の教会に赴任。司祭としての務めを果たしながらも、彼女のことを思い1年が過ぎたある深夜、使者が現れ、ある身分の高い夫人が死に瀕して司祭に会いたがっていると告げる。終油を授ける用意をして、駆けつけたロミュオーが案内された部屋に寝かされていたのはあのクラリモンドの遺体だった。(テオフィル・ゴーティエ著「死霊の恋」)
フランスの古い怪談を集めた作品集。
(河出書房新社 1100円+税)