「贖罪」吉田喜重著

公開日: 更新日:

「わたし」は10歳の頃、2階の薄暗い納戸の奥で、古い新聞記事を見つけた。紙袋の中に、「五・一五事件」「ノモンハン事件」などと共にその記事はあった。それはルドルフ・ヘスの記事だった。

 ヘスはナチス・ドイツの副総統でありながら、単身、メッサーシュミット機で交戦中のスコットランドまで飛行し、落下傘で降下するという奇妙な行動を取った。その謎めいた行動は精神錯乱によるものだと思われていた。この記事を収集したのは15歳年上のいとこに違いない。ヘスに興味をもった私は主語の書かれていないヘスの手記を手に取った。

 ルドルフ・ヘスと同時代を生きた著者が書いた長編小説。

(文藝春秋 3000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動