「年収100万円で生きる」吉川ばんび著
格差社会と化した日本で貧困にあえぎながら生きる人々を取材したルポルタージュ。
就職氷河期にフリーターとして社会に踏み出した落合さん(仮名・44歳)は、葬儀屋の派遣社員として働いていた36歳のとき、リーマン・ショックの余波で派遣切りに。別のアルバイトを始めるも収入は半減し、42歳で住む場所を失う。以来、荷物用に借りた月1万5000円のトランクルームで寝泊まりしているという。
ほかにも体を壊して建設会社の寮を追われ、週1万円のネットカフェで暮らしながら日雇いのバイトで生きる山北さん(同・37歳)や、介護離職した末に軽自動車で暮らす篠原さん(同・52歳)ら16人のそれぞれの実情から、現代社会の病理が浮かび上がる。
(扶桑社 820円+税)