「育てられない母親たち」石井光太著

公開日: 更新日:

 さまざまなセーフティーネットが整備されつつあるが、育児困難や虐待が減る兆しがない。現実の虐待事例を紹介しながら、それぞれの事情と虐待が引き起こされる構造を読み解くリポート。

 結婚後、夫と義父母に尽くす完璧な妻が、出産後は病弱な娘の看病にかかりっきりに。やがて、娘の度重なるケガや体調不良の原因が母親自身にあることが明らかになる。娘に洗剤を飲ませたり、転んだと見せかけケガをさせていたのだ。母親は、子供時代の家庭環境によって自分を見てほしいという気持ちが高じた「代理ミュンヒハウゼン症候群」という精神疾患だった。

 その他、夫に溺愛される娘に嫉妬して虐待してしまう母親など、それぞれの虐待に至った背景を探り、社会が抱える病理を明らかにする。

(祥伝社 960円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動