「開高健は何をどう読み血肉としたか」菊池治男著
作家、開高健はこれぞと思った本はカバーも帯も捨て、耳を折るどころか、ページの半分を折り込んでいた。本を「読みたおす」覚悟が伝わってくる。2017年にオープンした「開高健記念文庫」には開高健の「読みあと」のたどれる「開高蔵書」が残っている。
開高はブラジルの大河アマゾンを遡った65日間の旅の記録として「オーパ!」を書いているが、「旅は男の船であり、港である」というエッセーにこう書いている。現代文学は自然との交感を欠いているために甚だしく衰弱したのではないか。外国に行くと、強いたくましい自然の中に入りたくなって、釣りをするのだと。
「オーパ!」に同行した著者が開高健の世界をのぞく。
(河出書房新社 1900円+税)