「ははのれんあい」窪美澄著
デパートに勤めていた由紀子は、婦人服の縫製を稼業とする智久と結婚して、長男の智晴、双子の寛人、結人の3人の息子に恵まれた。
ミシンの仕事を教えてくれた義母の邦子とはうまくいっていたが、智久は自分が由紀子と子どもたちのチームの補欠であるかのような疎外感を感じていた。
邦子が死んだとき、智久は病院にいなかった。由紀子が「お義母さんが亡くなったとき、あなたはどこにいたの?」と尋ねても答えない。タクシー会社に勤務する智久は週に1度、帰宅しないようになる。由紀子が勤務先の売店にいたとき、外国人の女に「私と智久のこと、智久と話をしてほしい」と声をかけられた。
支え合って壊れかけた家庭を守っていく家族の物語。
(KADOKAWA 1870円)