「希望病棟」垣谷美雨著
系列病院から神田川病院に着任した女医の摩周湖は、新薬の治験に参加する末期がん患者の桜子と貴子の担当を前任者から引き継ぐ。高校2年の桜子は、生まれてすぐに母親に捨てられ児童養護施設で育った。一方、貴子は代議士の妻だが、夫や姑は貴子のことよりも間近に迫った選挙のことで頭がいっぱいのようだ。
口下手な摩周湖は、不用意な発言で患者や家族を怒らせてばかり。同僚医師や看護師らから見放されても、先輩のルミ子だけは変わらず接してくれる。
そんなある日、摩周湖は病院の中庭で拾った聴診器を落とし物として届けようとするが、ルミ子に助言され診療時に使ってみる。するとなぜか聴診器を通して患者の心の声が聞こえてくる。
ベストセラー「後悔病棟」に続く感動長編。
(小学館 690円+税)